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「なんかしんどい」は「体の主張」

こんにちは、大阪の江坂駅近くの女性専門鍼灸院、花咲鍼灸室です。

私たち鍼灸師の仕事は、体調の悪い方に鍼を打ち、灸をすえることで、少しでもその方の心身の状態をいい方に変化させることです。

ところで、「はり」って聞くと、少し前まではおじいちゃんおばあちゃんが受けるもの、というイメージがありませんでしたか?

「鍼灸院」は肩や腰が痛い時に、お年寄りが行くところ、そんな感じ。

私の大昔の記憶でも、子どもの頃祖母に連れられて行った印象が強いです。どこかに行くというのでついていったところが鍼灸院。横になった祖母の腰におじさんがなんか刺して、更になんか乗っけて火をつけた!煙がモクモクして、燃えてる!というのが、強烈な思い出として残っています。

(ちなみに鍼の上にモグサを乗っけて燃やすのは、「灸頭鍼」という技法で、受けるととっても気持ちいいです。おばあちゃんに「…気持ちいいの?」と聞いたら「ええよ~」と言ってたのは覚えてる)。

今は美容やスポーツ選手のケアの分野でも少しずつ裾野が広がってきた印象がありますが、それでも「はりに行く」というと、周りから「えーっ!はり?怖くない?」ってびっくりされる人がまだまだ多いようです。

受けた人には「…なんかいい」「すっきりした!」と思ってもらえる。でも体験もしたことない人にとっては「針刺されるなんて痛いに決まってる。よっぽど悪いところがあって、どこにいってもどうしようもない時の最終手段」みたいに思われていることが多いように感じます。

私は前述の祖母の記憶があったので、自分が10代で腰痛が出た時に何故かいきなり「…鍼に行こう」って思ったんですが、今はおじいさんおばあさんと住んでいる、という方も減っているし、鍼灸以外の〇〇セラピー、〇〇療法院みたいな選択肢がものすごく多くなってますから、ちょっと調子悪いから鍼灸院に行こう、とはなかなかならないかも。

だいたい鍼灸院ってどんな人がやっててどんなことされるかわかんないから怖い、っていうのもあり(それは法律で広告の制限があるからなんですけど)。

そして日本には世界に誇る「国民皆保険制度」がありますから、病気になったらすぐ病院へ、保険で安く診てもらえるというのもあって、なかなか「予防」「セルフケア」という意識が育っていないのもまた現実です。

病気になる前だと保険が使えないから、全部実費というのもハードルが高くなる要因かもしれません。

鍼灸でも一部医療保険が使えますが、必ず医師による診断と「同意書」というものが必要なんです(これがまた書いてもらうのにハードル高し…)。

でもよくよく考えてみると、「なんとなく調子が悪い」「(首が、肩が、腰が)凝る、痛い」「寝つきが悪い、熟睡できない」「疲れが取れない」という状態から、実際に「病気が発生する」までには結構なタイムラグがあります。

その間、何もしないというのは、体の機能=パフォーマンスが落ちた状態を放置しておくということ。しんどいのを押して仕事、疲れが取れないのに家事はたまる、あちこち痛いのに子どもを抱っこ、しんどいから動くの億劫で効率は落ちてますます時間に追われ…考えるだけでいやになりません?

そして実際に病気が発生してしまうと、治るまでが結構大変です。

通院して検査、更に悪いところが見つかれば治療のために手術や投薬、場合によっては長期のリハビリ、その後も定期的に検査など、時間も、保険があるとはいえコストも、何より要らないストレスがかかってしまうんです(私は事故で膝の靭帯を切ったり、初期乳がんが見つかって手術しましたが、そりゃあもう…面倒でした)。

勿論気を付けていても病気になるときはなってしまうし、不慮のけがなんかもありますから、病院は絶対必要です。

医師でなければできない治療が必要な状況は、誰にでも起こりうるのが現実です。

でも、病気になる前に少し気を付けていたら、ほんとにまずい状況になるのは防げる可能性が高くなります。

毎日の生活の中でのパフォーマンスを落とさず、さくさく必要なタスクを処理して、ゆっくり家族と過ごしたり、趣味に充てる時間を確保するのが可能になるんです。

私たち鍼灸師は、この「だるい、しんどい」「疲れが取れない」「(首が、肩が、腰が)凝る、痛い」といった、病院にいくほどじゃないけど体のパフォーマンスが落ちている、というような状態を解消して、病気に発展するのを防ぐ、というのが仕事です(未病を防ぐ、とか言います)。

3年間学校で体や病気のことを学び、国家試験に通って「はり師・きゅう師」を名乗っているので、一般の方よりは体の不調や病気に対する知識も持っていますから、「これは鍼灸院じゃなくて病院」という判断をすることも可能です。

だからお勧めしたいのは、「なんか調子がイマイチだな」と思ったら、とりあえず鍼灸院へいってみる、という選択なんです。

私たちにお薬の処方はできないし、血液検査もできません。レントゲンや超音波の検査もできないし、「病名」をつけることはできないです。

でも、「なんか寝てもすっきりしなくて」や「首とか肩がなんともいえず重くって、目の奥が痛いんですよ」「食べた後胃のあたりがむかついて、お腹がすかないんです」みたいな、病院に行ってもとりあえず「薬出しておくのでしばらく様子見てみてください」で終わる「まだ病気ではないけどしんどい症状」に対して、体の外から「はり(刺すだけじゃなく、刺さないはりもたくさんあります)」「きゅう」で刺激を行い、弱っている体が元に戻ろうとする力を後押しすることができます。

私たちの体はけなげで、こちらが多少無茶しても、なんとか頑張って仕事をこなそうとします。睡眠が十分とれなくても、運動なんかろくにしなくても、ストレスでつい暴飲暴食したとしても、毎日真面目にモクモクと働いて、私たちが日常生活を送れるようにしてくれています。

そんな体の「あのー、ちょっと現場しんどいです。何とかなりません?」という訴えが外に表れてきたのが、数々の不調なわけです。

私たちは自分の体のオーナーな訳ですから、その代表として彼らが快適に働ける環境を整えてあげる必要があると思いませんか?

方法はなんでもかまいません。

でも私たちは鍼灸師なので、できればぜひ!鍼灸院を使って欲しいと思います。

普段頑張ってちょっと疲れがたまっちゃってるけなげな働き者の身体を、病院とは別の方法論で刺激して、元気に機嫌よく働けるようにするお手入れ法を知っています。

どこかが痛い、こりがとれない。なんとなくだるい、元気が出ない。

そんな時は体がメンテナンスを必要としている時。

髪が伸びたら美容院にいくように、服に取れない汚れがついたらクリーニング店にいくように、勇気を出して近くの鍼灸院に連絡してみてください。

鍼灸師は「体のメンテナンスの専門家」ですから。

…大丈夫、怖くないです。

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